2011年 02月 07日
『時計じかけのオレンジ』
小栗旬さん主演のパンクオペラです。
スタンリー・キューブリック監督の映画は若い頃に観ています。
吐き気を催すほどの残忍なアレックスを、しかしキュートに演じていたマルコム・マクダウェルの印象があまりに強烈に残っているので、今回、小栗旬さんが、あのアレックスをどう演じるのかが興味があって、チケットをとりました。
復習というか予習のつもりで、未読の原作翻訳本を買い、電車のなかで読んでいたら、キューブリックの映画は、ラストの一章がカットされてつくられたものだということを知りました。そうだったのか……。
映画は、暴力の限りをつくしたアレックスが刑務所に入り、刑期を短くするために自ら、実験的な矯正改心療法の被験者となることを志願し、非人道的な方法で洗脳されて、すっかり無害な模範市民になり、しかしある出来事により、再び残忍な性格に逆戻り! といったところで終わっています。
でもアンソニー・バージェスの原作はその先に、ある意味、教訓的といってもいいハッピーエンドが用意されていました。
まあつまり、アレックスは、大人になるんです。心の成長ってやつでしょうか。
でもそれは、「矯正されたもの」ではありません。
「人間は、自由な意志によって、選択ができなければならない」というのが、この作品のテーマです。選択する能力のない存在となった人間は、時計じかけのオレンジのようなもの。みずみずしい果物のような見かけをしていても、ぜんまいで動く機械のようなものなんだってことですね。
キューブリックの映画を嫌っていたバージェスは、自身の原作をもとに戯曲を書きました。
キューブリックがカットした最終章も、ちゃんとある戯曲を。
で、その戯曲をもとに、河原雅彦氏が上演台本を書いて演出したのが、今回の舞台というわけです。ああ、ややこしい(笑)
いえ、でも、お芝居自体は別にややこしいことはなく、なるほど、原作者が訴えたかったテーマというのは、最終章の部分が加わっていることにより、よく伝わってきましたし、マルコムよりもソフトな感じの小栗さんには、このラストのほうがふさわしいと思いました。観終わったのちの後味というのもよかったです。
舞台の前半と後半のあいだに休憩時間が二十分ありましたが、そのあいだアレックスの小栗さんは、ずっとステージ上にいました。拘束服で椅子に縛りつけられて、人格矯正療法を受けているというシーンです。この休憩時間を含めて、ほとんど出ずっぱりの小栗さん、クレージーな役なのに、さらりとした印象なのがいいなあと思いました。
アレックスに暴力を受け、妻を失った小説家アレキサンダーを演じていた武田真治さん、歌がうまかったなあ! サックス奏者としての腕前はテレビでよく拝見していますが、すんだ歌声もすごくすてきだなあと思いました。
武田さんはアレキサンダーのほかにも何役も演じてらして大活躍!
いえ、そのほかの役者さんたちも何役もこなしてらしたから...そうか、このオペラ、すべての方が、出ずっぱりだったのかもしれませんね(^-^)/
当時演技指導していた講師が息子の演技を見て「小栗旬に似ている」と言ったらしいです。もう、五年ほども前のことですが。
息子には、もっとがんばってほしかったのですが、こればっかりはしょうがないですね。
小栗旬さんの演技に息子さんの演技が...それはすごい! 小栗さんは上手い方だなあと思って拝見しています。それと、声が深くてすてきだなあと。
興味がほかのものにうつっていくのはしかたないですね。どの道を選ぶかはご自身次第ですものね。私は十代の頃は歌手になりたいと(A^^;思っていました~♪(^-^)/