『タンゴ・冬の終わりに』

『タンゴ・冬の終わりに』_b0109481_13311981.jpg9月の終わり近くにいってきました。
三上博史さん主演『タンゴ・冬の終わりに』
清水邦夫氏作。行定勲氏演出。パルコ劇場。

19時開演。おろされたままの紗幕に、裏向きに映し出される名画の数々。『ライムライト』『カサブランカ』『ローマの休日』などなどなど…。
紗幕の向こうは、映画館の客席。そこに、一人の男が…。

ここは、日本海に面した街にある北国(ほっこく)シネマ。
有名な舞台俳優だった男、清村盛(きよむらせい・三上さん)は、三年前突然引退宣言をして故郷にもどり、妻のぎん(神野美鈴さん)と弟(岡田義徳さん)とともに、生家の古びた映画館で日々を過ごしています。
盛は心を病み、それが悪化の一途をたどっているのは、俳優時代の栄光への断ち切れぬ思いゆえでしょうか。それとも、少年時代にある関わりを持った、孔雀の剥製の幻影に悩まされているからでしょうか…。

ある日、美しく若い女優、名和水尾(倉科カナさん)と、その夫、連(ユースケ・サンタマリアさん)が、北国シネマを訪ねてきます。
盛と水尾はある時期、恋愛関係であった模様。水尾を呼び寄せたのは、なんとぎんだというのです。
盛は水尾を思い出せない様子…。けれど水尾は、現実と幻影が混濁している盛とふれあううち、彼のなかに、あるひとつのものを見つけます。二人は、踊り始めるのでした。熱く、激しいタンゴを…。
そして、妻ぎんは…。また、水尾の夫、連は…。

『ラ・クンパルシータ』の調べに乗せて、女の怖さと男の狂気を描いた、息苦しくも美しい物語。ひゅるひゅると鳴る風の音を耳に、白い雪と紅い血を目に焼き付けて外に出ると、季節は秋。渋谷の街のイルミネーションが、ここは北国ではないと気づかせてくれました。


さて今年も、秋いちばんの楽しみは、ケイン・コスギさんのファンクラブイベント。
先週の日曜日にいってきました。それについてはまた数日後(^-^)/
by makisetsu | 2015-10-11 13:34 | 映画・舞台の感想など | Comments(0)