2016年 03月 02日
『消えた1日をさがして』
朝のホームルームは八時半からはじまる。
ハルが教室の戸をあけると、突然、強い風が吹いた。
目をあけると、教室にはだれもいない。
ハルはなにが起こったのかわからず、目をぱちくりさせた。
壁にかかった時計は、五時をさしている。
窓の外は、夕日で赤くそまっていた……。
日本児童文学者協会・編のアンソロジー、タイムストーリーシリーズの一冊。「一日」をめぐる五つの物語が、不可思議な世界に読者をいざなってくれます。
失ってしまった時間にとまどう少年ハルが主人公の表題作「消えた1日をさがして」は、ラストシーンでのハルの思いが、胸にぐっと響く物語です。
作者、溝渕加純さんは大学時代に私の授業を受講してくれていて、そのときの作品「隣の部屋の彼女」は、拙著『童話を書こう! 完全版』にも収載させていただきました。
卒業後も書き続けていてくださって、ほんとうに嬉しいです!(^-^)/