「赤い靴」についてのご質問の答え

b0109481_9585295.jpgはじめまして、たこみさん。私の作品を教材としている授業を履修なさっているのですね。『FAKE』のコメント欄にあった、「赤い靴」(『星にねがいを』の2)についてのご質問の答えです。ちょっと長くなりましたので、こちらに載せました。

まず、主人公の真央が万引きした日のママの行動や言葉の意味は、たこみさんが考えていらっしゃる意味と、作者である私が作品に込めた意味とは、違いがあります。

ママは、真央のその日の行動(万引き)を肯定的にとらえているわけではありません。じつはママが紙人形をつくるシーンでアンデルセンの「赤い靴」にちょこっとふれているのは、「罪」ということについて匂わせてもいるんですね。(アンデルセンの「赤い靴」は、ネット上の「青空文庫」でも読めますので、時間があったら読んでみてください)

では、ママはどうしてあんなこと(自分も万引き)をしたのでしょうか。それは、ママはママなりに、真央の気持ちに寄り添いたいと思ったからです。ただ、自分の気持ちを表現するのが不器用な人ですし、ちょっとイキリ(笑)でもあるので、あんな行動や、あんな言葉になってしまうんですね。

だからママがアンデルセンの「赤い靴」にふれたところで、真央には、その時点では伝わるはずもない。
真央はその後、アンデルセンの「赤い靴」を読みますが、その時点でも意味ははっきりとはわからない。
けれど、カレンが靴ごと足を切るところを読んで、真央は泣くでしょう。意味はわからなくても、感じたんですね。アンデルセンの「赤い靴」での、「赤い靴をはく」ということが、どんなことであるのかを……。
おっと、ちょっと説明しすぎてしまいました(笑)

さて、たこみさんが作品から受けとってくれたものは、私が込めたものとの違いはありますが、それは、間違いということとは違います。(違いを重ねてみました・笑)
ひとつの作品でも、百人が手にすれば、百通りの読み方があり、百通りの受けとめ方があります。
だからこの作品も、読んでくださったひとりひとりのなかで、それぞれの「赤い靴」が、動き、歩き、生きている!
だから、書くのって、おもしろい! 
だから、読むのって、おもしろい!
私はそんなふうに思っています。(だからを重ねてみました・笑)

ピザの件ですが、「赤い靴」は、『星にねがいを』という連作短編集の「2」で、この本には5作が収載されています。
1 あい・らぶ・ゆう・ぽぎい 2 赤い靴 3 チョコレート 4 ダウジング 5 星にねがいを
5作を続けて読んでくださると、ママが「手料理をするキャラではない(笑)」というのがわかっていただけると思います。

そして「レモン・ハウス」は、「かわゆいキャラクターグッズを売っているお店」を読者にイメージしてほしいので、それっぽい名をつけました。スーパーマーケットについては逆に、あまり特別なイメージをもってほしくない、いわゆる一般的なスーパーマーケットとしてとらえてほしかったので、名前はつけませんでした。
ちなみに「3 チョコレート」のエピソードのなかでも、「レモン・ハウス」の名は出しています。

ほかの4作も収載されている『星にねがいを』(偕成社)、いつかぜひ、まるごと読んでくださると嬉しいです(^o^) and 今年春に出した『サイコーのあいつとロックレボリューション』(国土社)も、よろしかったらぜひ読んでみてください♪

暑い日々、どうか体調に気をつけておすごしくださいね(^-^)/

by makisetsu | 2016-07-09 10:05 | その他 | Comments(2)  

Commented by たこみ at 2016-07-09 20:44 x
こんにちは。
ご回答頂きありがとうございます。
とても丁寧にお返事して頂き感激しております。

「星に願いを」全体通して拝読しました。
真央のお母さんは、離婚して真央に寂しい思いをさせたり裕福な生活をさせてあげられなかったり、細かいことでは料理が下手だったりして、申し訳なさや後ろめたさ(それと気恥ずかしさ)から真央に対して母親らしく接することが出来ないように感じました。運動会に行けなかったのも、本当はすごく申し訳なく思っているのだと思いました。
真央とお母さんの親子の関係は一般的な(何が一般的なのかもよく分かりませんが)親子関係ではなく、ともに成長していく仲間や同志のような関係なのかもしれないと思いました。
真央もお母さんも悩みもがいていて、その中で成長しようとしている二人の姿に感動させられました。

お忙しい中、ありがとうございました。
自分の読みを大切にして、これからも様々な作品に触れていきたいと思います。
失礼します。
Commented by makisetsu at 2016-07-10 00:31
読んでくださってありがとう。これからもどうかお元気で、よい学生生活を送ってくださいね!(^-^)/

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