ウォンビン

 さて、韓国映画を一本。
 ハリポタ、韓流と続くこの流れ。我ながら、ほんとにミーハーですね。ま、いまに始まったことじゃありませんが(笑)。
 私が一番イケメンだと思うのは、なんといってもこの人です。
 ウォンビン。
 二年前、テレビで日韓合作ドラマ『フレンズ』を観たとき、「えー、こんなに純粋そうに見える人って、いまでもいるんだ」とびっくりした覚えがあります。
 『フレンズ』は、韓国青年(ウォンビン)と日本女性(深田恭子)のラブストーリー。女心について察しが悪い青年を、フカキョンが、軽くすねながら、日本語で責める場面がありました。こんな感じの台詞だったと記憶しています。
「まったく、鈍感男なんだから」
 青年は意味がわからず、その言葉をたどたどしくなぞり、聞き返すのです。けげんそうな表情で、けれどもちょっと微笑みながら。
「……ドンカンオトコ?」
 ううう、カ、カワイイ……たどたどしさって、母性本能をくすぐります。ドラマを観ていた女性で、あの瞬間にウォンビンのファンになった人って多いんじゃないでしょうか。そういえば、来日したヨン様が、「アイタ……カッタ」っていったときも、ファンの方々は嬌声をあげていましたよね。
ウォンビン_b0109481_4361455.jpg さてそのウォンビンと、こちらも韓国男優四天王のひとりチャン・ドンゴン共演の『ブラザーフッド』。
 映画のテーマは、まさにタイトルそのもの。朝鮮戦争を背景に、「兄弟愛」を描いた物語。監督・脚本は、『シュリ』のカン・ジェギュです。
 体が弱く、けれども頭脳明晰で優等生の弟ジンソクをウォンビン、その弟を大学にやるために、父亡きあと、靴磨きをしながら家族の生活を支えている兄ジンテをチャン・ドンゴンが演じます。
 1950年6月、ソウル。学校帰りのジンソクは、兄ジンテが仕事をしている通りに走っていきます。ふざけあう、仲のいい兄弟。兄はその日、弟に万年筆をプレゼントします。
「イ・ジンソク」という名が刻まれた万年筆を。喜びながらも、「……高かっただろ?」と心配し、とまどう弟ジンソク。
「欲しがってたじゃないか。カッコイイぞ!」
 ジンテは弟のシャツの胸ポケットに万年筆をさしてやります。
「ありがとう、兄さん」
 兄は弟にアイスキャンディーを買ってやります。一本のアイスキャンディーをゆずりあいながら、笑顔でかじる二人。
 母は露店の素麺屋をやっていて、兄の婚約者が店を手伝っています。貧しくても、家族の愛に満ちた生活。
 けれども戦争が勃発し、ジンテとジンソクは軍に強制徴集されてしまいます。母と、婚約者と引き裂かれ、軍用列車で戦場へ向かう兄弟。そこは地獄のような場所でした。炸裂する砲弾。凄まじい轟音。弟を無事にソウルに生かして帰すにはどうしたらいいのか。そのためにはなんでもするつもりのジンテは、大隊長から、こんな話を聞き出します。
 部隊を救うために自爆し、武功勲章を受けた父親がいた。そのおかげで、彼の息子は除隊することができたのだ、と。
 密かに覚悟を決めたジンテが弟のところにいくと、ジンソクは、悲しげにつぶやくのです。いまのこの戦時の状況が、
「夢だったらいいのに」と。
「目が覚めると家で、僕は兄さんにいうんだ。『おかしな夢を見た』って。それで、僕は学校にいって、母さんと兄さんは店にいくんだ」
 派手な台詞ではないのですけれど、ささやかな日常の幸せの大切さを、真実味をもって、スクリーンのこちら側の観客に伝えることに、ウォンビンは成功しています。その透明感のある瞳で。寂寥感のある静かな声で。
 ジンテは弟に、心配するな、必ずその日は来るから、と応えます。
 そうしてジンテは、奇襲作戦など危険な任務を志願し手柄をたてていきます。すべては弟を除隊させるために。けれどそんなジンテを見てジンソクは、「兄さんは、人が変わってしまった」と反発をするのです。
 ひよわなジンソクが、戦争という環境のなかで、心も体も成長していく様をウォンビンが、そして、初めは弟を救うためだけに戦果をあげようとしていたジンテが、徐々に戦争の狂気そのものに染まっていく様子をチャン・ドンゴンが、それぞれ見事に演じています。目の前で地雷や砲弾が爆裂する戦闘シーンの臨場感は、はんぱじゃありません。
 ヒューマン、かつスケール感ありで、今年ロードショーで観たうちでは、一番心を動かされた、もう一度観たいなと思った映画です。
「それってウォンビンが出てるからでしょ?」と突っ込まれたら、否定はできませんが(笑)

 本編が始まる前、日本ファンに向けて、ウォンビン、チャン・ドンゴン二人のメッセージが、それぞれアップでスクリーンに映し出されるのも、ファンには嬉しいかぎりでした。
 ところでチャン・ドンゴンて、お笑いの劇団ひとりさんにちょっと似ていますよね。そうそう、四天王のもうひとり、イ・ビョンホンは、ネプチューンの原田泰造さんに似ていると思います。ファンの方、おこらないでください。劇団ひとりさんも原田さんもハンサムですよー。
 ウォンビンは、次作映画『うちの兄貴』がクランクアップしたあと、兵役で軍隊にいくそうです。俳優活動が中断されるのは残念ですが、きっとまた新しいなにかをつかんで帰ってきてくれることでしょう。
 あ、ウォンビン話がすっかり長くなりまして(^-^;)前回、タイトルをあげた映画のことを書く体力が残っていません、どうかご容赦を……&また次の機会をお待ちいただけましたら幸いです。

 猛暑のなか、皆様、どうかおからだにお気をつけておすごしくださいませ。 7月28日
by makisetsu | 2004-07-28 18:09 | 映画・舞台の感想など | Comments(0)