2011年 05月 28日
稲垣吾郎さん『ぼっちゃま』
時代背景は戦後の昭和25年。
舞台背景は東京郊外の旧家。
主のぼっちゃま(稲垣吾郎さん)と、ぼっちゃまのよき理解者であるばあやさん(白石佳代子さん)が住んでいます。
冒頭、ふすまを開けて、白い着物姿であらわれる吾郎さん。ご本人は左ききですが、右ききという設定なのですね。右手でペンを持ち、すらすらと書き物をするぼっちゃまの姿に、はなから、うっとり~(*^_^*)
ぼっちゃまの住む隣には、ぼっちゃまが所有する2階建ての木造アパート。
2階の住人であるピアニストの奏でるメロディが流れてきます。
ぼっちゃまは恋人がいますが、そのほかにも、多くの女性と色恋沙汰を繰り広げています。
ある日、ぼっちゃまは、離れて暮らしている姉弟妹を家に呼び、家族団欒をと願うのですが、彼らの思惑は、ぼっちゃまの思いとは別のところにありました。
事業の失敗などで、生活に窮している彼らの目的は、お金。
さらには、妾腹である彼らが、本妻の子のぼっちゃまに抱いていた不満なども吹き出し、空気は最悪に。
怒るぼっちゃまでしたが、姉弟妹への思いから、骨董屋に、大事な形見の茶碗を売ることに…。
ぼっちゃまの思いは、彼らに通じるのでしょうか…。
美学と深い愛を持ち、粋を信条としているけれど、それは戦後の時代とはうまく噛み合わず、人にもなかなか理解されない….そんな彼を稲垣吾郎さんが、ユーモラスに、そしてせつなく演じている『ぼっちゃま』。
脚本は、『謎の下宿人~サンセット・アパート~』『魔法の万年筆』に続き、吾郎ちゃんとのコンビが3本目の鈴木聡氏。
演出は、『魔法の万年筆』には俳優として出演。今年の『時計じかけのオレンジ』で上演台本・演出担当の河原雅彦氏。
すてきな舞台でした! おもしろくて、かなしくて、あたたかくて....。
『十三人の刺客』以降の稲垣さんの演技は、もう、大人(たいじん)の風格すら漂っています。
あの、どこか浮世離れした感じというのは、吾郎さんならではの味だと思います。
そして、音楽がまたいいんです。音楽監督であり、アパートの住人として出演していらっしゃる佐山雅弘さんのピアノ、すばらしかったです。
『東京ブギウギ』『銀座カンカン娘』『スターダスト』など、もりだくさん。
♪世界中がどんなことになっても 生きるのよ…『ケ・セラ・セラ』
最後は客席、スタンディング・オベーションでした。
『スターダスト』。好きな曲です☆
☆朝日小学生新聞に連載中の『星のおもちゃ屋』は、第5話「ぜんまいネコ」が終わり、ただいま、第6話「ガラスのおはじき」が進行中であります(^-^)/