2012年 07月 10日
『あしたもきっとチョウ日和』
主人公の小4の奈美が自転車で多摩湖にいったときのこと。
湖の堤防の長さを知った奈美は、その長さと関わりのあるスカイツリーを思い浮かべ、スカイツリーにのぼるつもりで―しかも10回分のぼろうと―堤防を歩き始めます。
そして何度も往復してゴール! 堤防の上にねっころがり、のびをした奈美の前にあらわれたのは…長い黒髪をなびかせ、着物のそでをひるがえして、かけてゆく…姫君?
彼女は虫愛ずる姫君。奈美がいま読んでいる物語の登場人物です。
(この場面、74~75ページ見開きの、亀岡亜希子さんのカラー挿絵も美しくてすてきです)
忙しい両親のかわりに、妹ミチルの世話を毎日しなければならない奈美は、辛抱も限界に近づいているのに、自分のそんな気持ちを口に出せずにいました。
そんな奈美が、『虫愛ずる姫君』の物語と出会ったことで、変わりはじめます。
少女の心を活き活きと描き出す高田先生の筆致に、ただもう、うっとり。
現実と幻想のあわいをゆききしながら、少しずつ、少しずつ、強く、やさしく成長していく奈美の姿に、子どもたちは共感を抱き、大人たちはエールを送りたくなるに違いありません。
『あしたもきっとチョウ日和』
ぜひ、お手にとってみてください(^-^)/