魔法の万年筆

魔法の万年筆_b0109481_436463.jpg 昨年の『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』から、ちょうど一年ぶりの吾郎さんの舞台を観てきました。バッファロー吾郎さんじゃないスよ(笑)もち稲垣吾郎さんです。
 パルコ劇場『魔法の万年筆』。背景は1920年代のニューヨークですが、翻訳劇ではなく、鈴木聡さんのオリジナル脚本、演出も鈴木さんです。吾郎ちゃんが出ていた『ホシに願いを』や、中村俊介さん主演の『ツーハンマン』などのテレビドラマを書いた方ですね。
 主人公の、若く貧しく無名の小説家パーカーが吾郎さんです。ある日彼はデパートの万年筆売り場で、女店員デルタ(西牟田恵さん)に勧められて5ドルの万年筆を買います。本当はもっと高いものがほしかったのですが、お金がそれしかなかったのです。けれどその万年筆で小説を書き始めると、あら不思議。すらすらと筆が運ぶじゃあーりませんか。
 映画『笑の大学』でも劇団の座付作家の役でしたけど、吾郎ちゃんは「もの書き」役が似合います。「左利き」というのが色っぽい。
 パーカーはデルタと恋におち、結婚の約束もかわしますが、編集者のウォーターマン(阿南健治さん)に、大御所作家Mrモンブラン(山崎一さん)の娘、セーラー(久世星佳さん)との結婚を勧められます。セーラーと結婚すれば、小説家としての将来は安泰ですし、莫大な財産を手に入れることもできます。さてパーカーは、恋と成功とのどちらを選ぶのか、そしてパーカーの未来は、幸せに満ちたものだったのか、それとも......?

 といった、いささか古風な感じの物語です。小道具の万年筆をめぐってのドタバタ場面が愉快。後半、ほろりとさせられたあとの、「ええっ?」というエンディングまで、テンポよく進んでいって楽しい舞台でした。上記の他の登場人物は、セーラーの兄パイロット(河原雅彦さん)、女性編集者ぺリカーノ(三鴨絵里子さん)、万年筆職人エルバン(小林隆さん)。エルバンだけはインクブランドですが、あとはみんな、万年筆のメーカーの名前がつけられているんですね。

 帰宅して、久しぶりに万年筆を取り出してみました。ホワイトスターがマークのモンブランです。まだワープロもパソコンも持っていなくて、これでせっせと書いていた頃を思い出しました。
 私は書き始めたのが遅かったので、当時から若くはなかったし、いまだに貧しくて無名だなあ(笑)でも書くのは大好きなんですよね(^-^) そんなことを、あらためて感じさせてくれる舞台でした。...さあ、また、がんばって書こうっと!
by makisetsu | 2007-05-22 04:45 | 映画・舞台の感想など | Comments(0)